日本ネット経済新聞 2023年7月27日号
「御用聞きモール『マルクト』」が堅調
地域での知名度を高め、利用者の増加目指す
配送事業のルーフィ(本社東京都、渡辺泰章社長)が手掛けるネットスーパーモール「御用聞きモール『マルクト』」が堅調だ。地域の店の商品をまとめて買って(一括決済)、まとめて届ける(一括配送)、国内初のネットスーパーモールだ。ユーザーは、地域のスーパー、ドラッグストア、ベーカリー、スイーツ、和菓子屋など横断的に買い物ができ、自宅でまとめて受け取ることができる。渡辺泰章社長に「マルクト」のサービスの現状について聞いた。
─ルーフィの事業について教えてください。
当社は物流を手掛ける企業として創業しました。事業は大きく二つあります。一つは、企業間配送のBtoB領域です。「緊急配送便」と「定期ルート便」の配送機能、システム機能として車両をマッチングする「ハコブリッジ」と、空陸一貫マッチング「ハコJET」の2種類があります。当社は冷凍などの食品に関わる事業を強みにしています。
従来は、FAXや電話で対応していたマッチングを、オンラインでできるアプリ「ハコブリッジ」を利用することで、送りたい側と配送業者を最短3分でマッチングすることができます。空陸一貫マッチング「ハコJET」は、例えば福岡から茨城に配送する場合、福岡の配送業者をマッチングしてそのまま福岡空港、羽田空港経由で、マッチングした配送業者がそのまま茨城まで一気通貫で配送することができます。それぞれ委託業者に個別に手配することなく対応することができます。
─個人向け配送業務も手掛けています。
イトーヨーカ堂をはじめとする大手GMS・食品スーパー各社のネットスーパーの配送業務の手配を手掛けています。また、店舗で購入した商品を自宅に届ける「来店宅配」のようなサービスも担っています。
私自身がダイエー出身で、ネットスーパーの立ち上げに携わってきた経験があります。システムや物流、教育、プロモーション、オペレーションといったネットスーパーの運営を横断的に知っている人はあまりいません。社員にも経験者がいることが大きな強みです。
コロナ禍をきっかけに、自宅で商品を受け取るニーズが高まっていました。大手企業であれば自社で構築できますが、小規模の小売店がネットスーパーに対応するのは困難です。
それであれば複数の店舗で、共同で車両を用意することで対応できるのではないかと考えたのが「「御用聞きモール『マルクト』」です。21年から開始して、現在、大田区を中心としたエリア、豊島区を中心としたエリア、江東区を中心としたエリアの都内3エリア、約56万世帯を配送カバーエリアとして展開しています。現在までに3エリアの計21店舗が加盟店として出店してます。目標としては1エリア10店舗を目安にしています。
このサービスは集荷もあるため、商圏は3キロ圏内とコンパクトにしています。中核となるのが食品スーパーでサブ的にはドラッグストアです。その周辺にパン屋や菓子店などがあるイメージです。
一般的なモールの場合は、店舗ごとにカゴがありますが、ワンバスケットで一括決済ができるというのがメリットです。注文が入ると、配送ドライバーが店舗ごとにピックアップしてお客様の自宅に届けることができます。
─出店する小売店舗はどのようなプロモーションを行うのですか。
ウェブサイトへの集客を含めたプロモーションは、当社が担っています。店舗で配布するチラシやポスターなどについても当社が用意し、周辺住民へのポスティングなども当社が行っています。
─国内のネットスーパーは苦戦する企業が目立っています。
ネットスーパーを店舗から出荷する形態であれば黒字にするには難しいです。ただ、ネットスーパーをサービス機能の一部として位置付けることができるかが重要です。
例えば、店頭で60代の方が中心顧客であっても、ネットスーパーを手掛けることで若年層の開拓にもつなげることができます。今後20~30年の関係ができる接点になります。
単純に事業が赤字であるという支店でサービスを捉えないようにと話をしています。「マルクト」は非常に優しい条件でサービスを利用できるように設計しており、大きな負担を負うことがなく利用できるのは加盟店にとってメリットです。
今後は、地域でのサービスの地名度を上げていき利用者を増やしていきます。エリア拡大に軸足を置いて1年以内に7エリア、2年以内に10エリアの拡大し、事業を広げていきたいと思います。
将来展望
他の都市圏での展開も視野に
コロナ禍をきっかけにニーズが高まったネットスーパー。渡辺社長は、物流企業である強みだけでなく、ダイエーでネットスーパーに携わるなど豊富な経験を持つ。「マルクト」は小商圏で、商店街も出店することで宅配を始めることもでき、ユーザーは店舗に出向いて買い回りすることなく、自宅で受け取ることができるサービスが画期的だ。他の都市圏での展開も視野に入れるという渡辺社長の手腕に注目したい。
日本ネット経済新聞の記事掲載ページはこちら:https://www.bci.co.jp/netkeizai/interview/916
▷ マルクトの概要
● サービス名称:御用聞きモール「マルクト」
● お支払い方法:クレジットカードもしくは代金引換(代引き手数料無料)
● 特 徴:一括購入、一括決済、一括配送(一部店舗は店舗受取サービス有り)
※ ネットスーパーECモール《御用聞きモール「マルクト」》は、新規なビジネスモデルとして特許出願中(特願2021-123761号)です。
※ 《御用聞きモール「マルクト」》は、株式会社ルーフィの日本国登録商標(商標登録第6399675号)です。
▷ 配送エリア
●1号エリア :大田区(一部地域を除く)、目黒区・世田谷区(各一部地域のみ)
●2号エリア :豊島区、北区、板橋区、文京区、新宿区の一部
●3号エリア :江東区(一部地域を除く)、墨田区・江戸川区(各一部地域のみ)
【会社概要】ルーフィ
・商号 :株式会社ルーフィ https://www.lufi.co.jp/
・事業内容 :「緊急」及び「定期」配送事業、宅配事業、物流システム事業
・設立日 :1996 年 4 月 9 日
・本社所在地 :東京都中央区日本橋 3 丁目 8 番 3 号
・代表者 :代表取締役社長 渡辺泰章
【会社概要】Diezon
・商号 株式会社Diezon https://diezon.co.jp/
・事業内容 :ECサイト開発/販売、デリバリープラットフォーム提供/運用
・設立日 :2016 年 8 月 10 日
・本社所在地 :東京都中野区中央2丁目30−2 Sビル5階
・代表者 :代表取締役 正古明
【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
・株式会社ルーフィ(マルクト運営事務局)
・TEL :03-5255-3076(受付時間:平日 9:00~18:00)※年末年始除く
・E-mail :info@lufi.co.jp.jp