2026.06.23 お知らせ
【スーパーの配送コスト削減】下がらない本当の理由とは?「車建て」という構造的な罠
この記事のポイント(要約)
- ・ネットスーパーは集品・梱包など店舗負担が大きく、損益面で拡大に限界がある。
- ・本当に重要なのは遠方客ではなく、足元の来店客。その満足度と客単価を同時に高める手段が「来店宅配」。
- ・来店宅配の客単価は店頭平均の約4倍(約1,600円→約6,600円)。1件あたり収支はプラスにできる。
- ・ただし配送が「車建て(トラック1台定額)」だと配送費は1件あたり3,000〜4,500円(SM)に跳ね上がる
- こともあり、注文が少ない日に採算が崩れる。
- ・解決策は配送コストの固定費→変動費化、すなわち「件建て(1件あたり課金)」への転換。
- SMで月約33〜37万円、GMSで月約21〜24万円の削減が見込める。
はじめに:なぜ今、スーパーの成長戦略として「来店宅配」なのか
- ネットスーパーが普及するなか、「配送コストが重くて損益が厳しい」という声がスーパー各社から聞こえてきます。実際、ネットスーパーは商品マスタの管理・集品・梱包など、店舗にとって大きなオペレーション負担を伴います。コストと手間に見合う収益を出すのは容易ではなく、多くの企業が拡大に頭打ちを感じています。
- 一方、過疎化・高齢化の進行により「買い物難民」への対応として移動販売を展開する動きもあります。しかし移動販売が救うのは来店が困難な遠方の顧客です。本当に大切なのは、今まさに店舗に来ていただいている足元地域のお客様です。
- 高齢になっても、仕事帰りの忙しい日も、お客様は「自分で見て、自分で選ぶ買い物の楽しさ」を求めて来店しています。しかし、重い荷物を持ち帰るのは負担です。水・お酒・紙おむつ……「欲しいけど持ち帰れない」という理由で購入をあきらめるシーンは、店頭で日常的に起きています。
- この課題を解決するのが来店宅配です。お客様が店頭で自由に選んだ商品を、当日自宅に届ける。「買い物の楽しさ」と「持ち帰りの苦痛解消」を両立させる、ネットスーパーでも移動販売でもない第三の選択肢です。
来店宅配は「サステナブルに儲かる仕組み」でなければならない
- 来店宅配の導入メリットは顧客満足だけではありません。収益面でも明確な効果があります。
- 都内スーパーマーケットの実績では、店頭客単価が平均約1,600円であるのに対し、来店宅配の客単価は平均約6,600円(約4倍)というデータがあります。重い荷物を気にせず買えるため、客単価が大幅に上がるのです。
1件あたりの収支イメージは次のとおりです。
※全受託店舗平均の損益イメージ。別途、月額システム費が発生します。
- 1件あたりの収支はプラスになります。ただしこれは「件建て」、つまり配送コストが1件あたりの変動費で扱えた場合の話です。現状の主流である「車建て」契約では、1件あたりの配送コストがSM業態で3,000〜4,500円、GMS業態で1,500〜1,800円に跳ね上がり、収支は一気にマイナスに転じます。
- 来店宅配の注文数は、天候・曜日・季節・セールの有無によって日々大きく変動します。注文が多い日は収支が成立しても、閑散期や注文が少ない日には一気に採算が崩れることがあります。「儲かる日もあれば赤字の日もある」という不安定な状態では、サービスを継続することはできません。
- 来店宅配を長期的に維持・拡大していくには、注文数の多い日も少ない日も安定して採算が取れる、サステナブルな収益構造を作ることが不可欠です。
配送コストが不安定になる根本原因は「車建て」にある
- 来店宅配の収益が安定しない最大の原因が、「車建て(しゃだて)」という配送の契約形態です。車建てとは、トラック1台あたり定額を支払う契約形態で、荷物の多寡に関わらず、車両を確保した時点でコストが発生します。
実際の配送件数と1日の傭車コストを業態別に見てみましょう。

- SM業態では1日4〜5件の配送に対して1台分の傭車コストが発生するため、1件あたりのコストは3,000〜4,500円に跳ね上がります。GMSでも10件で1,500〜1,800円です。配送コストが固定費である以上、注文数が少ない日ほど1件あたりの負担は大きくなります。
「値上げ対応」でも「配送会社の変更」でも解決しない
- 2024年問題以降、運送会社からの運賃値上げ要求が増えています。しかし値上げを受け入れるだけでは根本的な解決にはなりません。
- 車建て契約のままでは、値上げ後も「固定費構造」は変わらず残ります。配送会社を変えても同じです。問題の本質は単価ではなく、固定費という構造そのものにあるからです。
解決の方向性:配送コストを固定費から変動費(件建て)へ
- サステナブルな来店宅配を実現するには、配送コストを固定費から変動費へ転換することが必要です。注文が多い日はコストも上がり、少ない日はコストも下がる。売上と連動した変動費構造にできれば、閑散期に採算が一気に悪化するリスクを排除できます。
- この変動費化を実現する手段が「件建て(けんだて)」という契約形態です。配送した荷物1件あたりで料金が発生するため、注文数に応じてコストが自動的に調整されます。では、もし件建てにできたら、コストはどう変わるでしょうか。
■ SM業態(1日4〜5件 = 月間120〜150件)の場合 ※30日営業
■ GMS業態(1日10件 = 月間300件)の場合 ※30日営業

- SMでは件建てにできれば月間約33〜37万円、GMSでも月間21〜24万円のコスト削減が見込めます。そして何より重要なのは、件建てなら注文数が少ない月も多い月も、1件あたりのコストが一定に保たれる点です。繁閑に関係なく採算の見通しが立つため、サービスを安定して継続・拡大することができます。
- これが、来店宅配をサステナブルに運営するために変動費化が必要な理由です。
まとめ
- ・ネットスーパーは損益が厳しく、拡大に限界がある
- ・移動販売は遠方対応。大切なのは足元の来店客への対応
- ・来店宅配は「買い物の楽しさ」を守りながら客単価を大幅に引き上げる有力な手段
- ・しかし車建て(固定費)のままでは、注文が少ない日に採算が崩れサステナブルに継続できない
- ・解決の方向性は、配送コストの固定費から変動費(件建て)への転換
よくある質問(FAQ)
- Q.「車建て」と「件建て」の違いは何ですか?
- A.車建てはトラック1台あたり定額を支払う契約で、荷物の多寡に関わらずコストが固定されます。件建ては配送した荷物1件あたりで料金が発生する契約で、注文数に応じてコストが変動します。
- Q.スーパーの配送コストはなぜ下がらないのですか?
- A.主流の「車建て」契約では配送コストが固定費になるため、注文数が少ない日ほど1件あたりの負担が大きくなります。値上げ対応や配送会社の変更では固定費という構造自体が変わらず、根本的な解決になりません。
- Q.来店宅配の客単価はどのくらい上がりますか?
- A.都内スーパーの実績では、店頭客単価が平均約1,600円であるのに対し、来店宅配の客単価は平均約6,600円(約4倍)というデータがあります。
- Q.車建てだと1件あたりの配送コストはいくらですか?
- A.SM業態で1日4〜5件の配送に対し1件あたり3,000〜4,500円、GMS業態で1日10件に対し1,500〜1,800円に跳ね上がります。
- Q.件建てにするとどれくらいコスト削減できますか?
- A.SM業態で月間約33〜37万円、GMS業態で月間約21〜24万円のコスト削減が見込めます。さらに繁閑に関係なく1件あたりのコストが一定に保たれます。
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次回:なぜ「件建て」は難しいのか——そして混載がその答えになる理由
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